概  要

 

社会人大学院(特にビジネススクールを対象に)

1.何故、今社会人大学院なのか

高度職業人を養成するための機関として、大学院への期待は年々高まってきています。

従来人材育成を一手に担ってきた企業等も、大学院がその役割を担うことを期待しています。現に、理工系の大学院と企業との人材交流は活発で、理工系の大学院の修士課程は、すでに企業等へ就職する場合のエントリー・レベルでの人材養成機関になっています。また、何年か企業で働いた後に、もう一度知識と理論を一致させるという目的で大学院に戻り、研究に従事することももはや珍しいことではありません。

国は若年層の人口の減少、あるいは高度職業人養成の要望などから社会人大学院の設置、整備をしていかなければならない方向で動いていますし、企業人も自分のスキルアップを図るため、いろいろ模索しています。

こうしたいろいろな要素が社会人大学院の設置、整備に追い風となっており、今後ますます社会人大学院の必要性は高くなっていくことと思われます。

2.社会人大学院に進みたいという動機

「専門知識獲得のため」、「修士号取得目的のため」、「知的好奇心」、「人的ネットワーク拡大のため」、「体系的に今までの経験を学問として学んでみたい」、「専門知識をあらためて勉強したい」、更には「学生の時に勉強していなかったから」という様々な明確な目的意識を持っています。

しかし、仕事と勉強との両立、あるいは家庭との両立は本当に大変です。
 仕事ですと、派遣の場合はいいのですが、会社に了解を得ていても、「いつも早く帰るとなると帰りづらい」とか、「みんなの視線も冷たくなる」とか聞いています。更には会社が全く理解してくれない場合は非常に大変です、未だに「卒業した」と言っていない同級生を知っています。

また、家庭ですと、休日に勉強をするため家族団らんの時間がとれない等の不満がでてきてきます。
 更に、費用もバカになりません。入学料、授業料、書籍代はいうに及ばず、他に飲み代などの交際費が結構かかってきます。でもこれが社会人大学院の一番いいところですが。

皆同じ釜の飯を食べたという意識が強く、卒業後も頻繁に交流を持っています。

3.社会人大学院のビジネススクールのプログラムの区別

@「経営学的センスと理工学的センスを兼ね備えた優れた人材の育成を目指す」

「数理科学」「計算機科学」「経営学」の3つの学問分野から成る理系と文系を統合した理論を重視したカリキュラム編成。
     授業方法は、従来の講義以上に演習、討論、実験、修士論文研究のセミナーを重視し、問題発見能力と問題解決能力を身につけることが、プログラムの目的です。

(例)筑波大学大学院経営システム科学専攻、多摩大学、青山学院大学

Aケース(事例)研究を中心とした欧米型ビジネススクールプログラム

(例)慶応義塾大学経営管理研究科(慶応ビジネススクール)

B従来の講義とプロジェクト方式を併用するもの

統一的なテーマのもとに。そのテーマに関心のある人材を集めて研究を行う方式です。このプロジェクト方式で、教員と学生が実践的研究テーマに共同で関わっていくというプロセスを通じて、問題発見、問題解決の手法を学ぶという利点があります。

(例)神戸大学大学院経営学研究科

4.社会人大学院のタイプ

@昼間のみの大学院研究科

A昼夜開講制大学院

基本的には昼間の大学院でありながら、文部省の特例で夜間の開講を認められている大学院

B夜間大学院

社会人専用大学院とでも言い換えられます。

(特徴)

  • 授業が平日の夕方から夜にかけてと土曜日に集中的に行われるという社会人が通学しやすい時間帯に授業時間が設定されます
  • カリキュラムが社会人向けの実践的な内容で編成されています
  •  場所が職場から通学可能な都心位置している所がほとんどです
5.社会人特別選抜入試

大学院に入学する際には、社会人といえども入試は必要です。しかし、長い年月を経ると、現役の大学生と同じ内容で入試を受けることは簡単なことではありません。そのため、入試面で特別な配慮をしているのが社会人特別選抜入試です。

内容は各大学で様々ですが、

@ 専門科目の代わりに、面接などによる口頭試験形式を取り入れる

A 語学試験の免除

B 実業界での業績等の報告、研究計画書の提出を求める

などがありますが、ちなみに神戸大学は事前に研究計画書の提出、そして入試は語学と面接だけでした。広島大学では、研究計画書の提出はなく、入試で研究計画書と時事問題の記述問題と面接だけでした。

6.研究計画書

社会人特別選抜について多くの大学院が重視するのが研究計画書です。この研究計画書とは、学生が大学院で進めていこうとする研究についてのプランニングです。学生がはっきりとした目的意識、研究テーマを持ち、そして主体的に研究を進めていくことができるかを判断するために、この研究計画書があります。

しかし、大学院に入っていろいろ勉強してみると、やりたい事が最初の研究計画書から大きく変わってしまうことがあります。ほとんどの人がそうです。私の場合も最初から大きくはずれ、全く違った修士論文となってしまいました。大学の先生もそう思っていますので、必ず最初の研究計画書通りにしなくてはいけない、とは思わなくても結構です。

7.学生生活

入学後、社会人大学院での学習活動と仕事を両立させるのは大変です。しかし、はっきりとした意識をみんなが持って集まってきているので、忙しいけれど楽しい生活になります。仕事で疲れても学校に行けばみんなと会え、話すことができる。いわばストレス発散の場ともなります。

高い授業料を払って勉強しているんだからという意識があり、講義には熱心に参加します。その姿勢をみると「よし、がんばらねば」と自然に思うようになり、確かにきついですが、やりがいがあります。

生活はがらりと変わります。5時には仕事を終え、更には土、日曜には勉強をします。

そうしないとついていけないからです。毎日レポートの締め切りに追われている状況を考えてください。特に社会人大学院の場合はほとんどレポートの提出になります。逆に考えれば出席はとりませんから、レポートさえしっかり書けば合格ということもありえます。

実際ほとんど出席なしで「優」をもらった人を知っています。

ただこれだけは言えます。大学院では、人からのうけおいではなく、自分のはっきりとした考えを出さないといけない。自分の頭で考え、主張しなければならないのです。今までほとんど発言がなかった人でも1年も経てば頻繁に発言をするようになります。それだけ変わります。

また、うれしい面もあります、それは学割が使えることです。定期、映画や飲食などでも有効に使うことができ、学割を使うときは少しばかりうれしくなります。

更には、休みがやたらに多く感じられます。特に夏休みは3か月近くもあるのですが、これはほとんどレポート提出なので約1か月の試験月間が休みになるのです。更に春休みも2か月ちかくありますので約5か月も学校に行かないような感じです。

大学院は2年間ですが、私の場合、1年目で単位はほぼ取りました。取ることが可能です。通常の講義以外にも特別講義が夏休みにあり、また共同研究も単位になりましたから結構稼げました。そのため、2年目からは修士論文だけに集中することができました。やはり修士論文の時期に講義を取るのはきついと思います。

メールは必ず必要です。これがないと大学生活を乗り切ることができません。たびたび学校に行くこともできないし、また連絡を取り合うにも最適のツールです。必ずメールを取るようにしましょう。

8.修士論文

神戸大学では必ず、修士論文提出が義務づけられていました。しかし修士論文がないビジネススクールがあるとも聞いています。しかし、ほとんどの大学院では修士論文を書かなくてはいけません。

一般大学院生、教授に聞くと1年以上かけて書くのが当たり前だと言われましたが、実際に社会人にはそんなに時間はありません。しかし、書かないと修了できないのです。

論文は「目からうろこがでた状態でなければ書けない」と指摘されました。つまり、文献を調べて、何か従来の視点とは違う何か新しいものを発見しないと行けないのです。ただひとの意見を羅列しただけではいけません。「貢献をしたものは何か」。そして「わくわくする」テーマが必要です。これが重要なのです。

論文の書き方は多く本に出ていますので、私が参考とした本を紹介します。
梅棹忠夫「知的生産の技術」、清水幾太郎「論文の書き方」、澤田昭夫「論文の描き方」、鷲田小彌太「入門論文の描き方」、R・K・イン「ケーススタディの方法」、佐藤郁哉「フィールドワーク」等です。

9.最後に

最後に、社会人大学院は年齢層が幅広いので様々な考え方、バックボーンを持った方と知り合いになるチャンスができます。また一緒に厳しい勉強をした仲間なので連帯感が強くなります。一生の友人を得ることもできるのです。

こうした社会人大学院を是非とも皆さんにも体験していただきたいと思っていますので、これを参考にして是非チャレンジしてください。

人生は1回きりです。可能性を信じてチャレンジです。

 

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